季節変動に魔法をかける

先月あたりからコンビニや飲食店から恵方巻の案内が次々と入ってきます。何だか年を追う毎にそれを案内するお店が増えてきているようで競合も激しくなっている様子。

でもこの「恵方巻」、昔からこんなに色々なお店で扱っていたわけではないですよね。僕自身以前はこの「恵方巻」の存在を知らなかった。
ネットで調べると、元々大阪が発祥らしいのですが、その大阪でも知名度は小さかったのが、大手コンビニの仕掛けがきっかけとなり2000年以降急速に全国に広まったのです。

確かにその頃の我が家の会話で「へ~恵方巻ってあるんだ・・・」、「〇〇の方角を向いて、がぶっと丸かじりすると縁起が良いらしいよ」なんて話したことをおぼろげながら思い出しました。

2月と8月は「にっぱち」といって商売的には厳しいお店が多いので、こういった季節の企画で売上がボンと上がったら、お店にとってはこの「恵方巻」、まさに縁起の良い福の神みたいな存在かもしれません。

同じ閑散期2月の季節商品にバレンタインデーのチョコレートがあります。
実はこのバレンタインデーにチョコを女性から男性に贈るというのは日本だけ。とあるチョコレートメーカーの企画が起点となって、今やこの時期の売上が全国のチョコレートの売上の2割を占める国民的大行事になった。

以前、あるスイーツ屋さんから売上アップのご相談があり、丁度バレンタイデーの企画を立てる時期だったので、とある仕掛けを実施した結果、「売上が前年比5倍ありました」という驚きの結果に。

いったい何の仕掛けをしたのか?
というほどのことではなく、バレンタインの自社商品を写真付きで紹介した簡単なチラシをお客様のお買い上げ袋に入れるようにしただけ。

な~んだ、そんな単純なことかと思うかもしれませんが、この単純なことをやる、やらないで5倍の売上差が出たのはまぎれもない事実。この単純なことをやらないから売上は上がらないのです。

「恵方巻」にしても「バレンタインデーのチョコ」の事例にしても、共通するのは元々これをネタに商売をする習慣が無かったということ。お客さんが買う理由を売る側が勝手につけて言葉や商品の形で表現して提案していることだと思うのです。

“今日は何の日”というネタはネットを見ればいくらでも調べることが出来ます。これらをネタにしてお客さんが買う理由を勝手につくる、それを商品企画として提案する。
毎月企画の山を2つ位つくれば、ニッパチのような季節変動を抑えるのに大きな味方になるのです。

恵方巻もバレンタインのチョコも、元々買う理由なんかなかったのです。それが今や縁起担ぎだ、義理チョコだって、何の疑問も持たずに多くの顧客が買っている。

「今月は企画のネタがなくて・・」とは言わせない。
なかったら自分の誕生日を生誕祭と称して企画するとか、要はなんでもありなのです。

商魂逞しく生きましょう。