困りごとが困らなくなったら?

最近、既存の事業の見直しや新規事業展開についてのご相談が続けてありました。
それだけ世の中が産業革命的な流れの中で激しく動いているということなのだと思います。

先週、仮想通貨の取引業者のコインチェックから580億円分の仮想通貨が外部に流失したという大きな事件がありましたが、この仮想通貨もブロックチェーンという全く新しい技術から生まれた仕組みであり、紆余曲折を経ながら世の中の当たり前として次第に定着していくのだと思います。
この仮想通貨を使ったICOという資金調達の仕組みなども出てきており、既存の銀行等金融機関が今のままの形で存続できるとはとても思えないな~というのが今回の騒動から僕が一番強く感じることです。

金融機関についてはビックデータやAIを活用し、コンサルティングサービス等も組み合わせて資金サービスを提供するフィンテックという新興勢力が出てきており、既存の金融機関の存立基盤が根本から揺さぶられているように見えますし、確実に産業地図が変わるのだと思うのです。

一方、今朝の新聞で富士ゼロックスが米ゼロックス本社を吸収合併するという記事もありました。お互い、複写機部門は年々売上を減らしており、米ゼロックスは財務状態がかなり厳しいとのことで、衰退産業同士の合併で果たしてメリットあるのか?といった解説がなされていました。

いずれにしても大企業も中小企業も既存事業の存立基盤が激しく棄損されている会社が増えてきているのは間違いない。

そもそも、事業が育つ、成長する、成り立つというのは本質的にどんな構図なのでしょうか?

事業が生まれる本質はおそらく「困りごと解決業」であることだと思うのです。

銀行であれば、会社の資金調達という「困りごと」を、適宜資金提供という形で解決する。会社間や個人間の迅速な資金移動という「困りごと」を、手数料を取って解決する。
複写機メーカーあれば、手書きで書き写す莫大な労力提供という「困りごと」を電子コピーというテクノロジーで解決する。

顧客にとってみれば極めて有難い商品でありサービスだったのです。
では何故、そんな優れた商品やサービスが不要になってくるのか?

新しい技術進歩、それに伴う世の中の仕組み、システムがかわり、その「困りごと」が困らなくなった。或いは、別の仕組みや技術の方が圧倒的にコストも安く便利になった。

仮想通貨の急速な普及は発展途上国を中心とした国際間の資金移動の便利さ、圧倒的な安さにおう所が大きいと言われています。国内でも銀行で高い支払手数料に仮想通貨の取引がとって代わる。或いは企業の資金調達も銀行融資に代わってICOやフィンテックが使われるようになる可能性もある。

複写機は今やどこの事業所にも当たり前に入っているが、そもそもネット化、SNS化で紙のプリント自体が激減している。

衰退する商品や事業ではもう「困りごと」を解決できないのです。もしそんな産業にしがみついたままだと、確実に座して死を待つことになる。

その事業で顧客の「困りごと」を解決できるかどうか?
既存事業、新規事業の取捨選択で最初に考えるべき点は正にここある。

多くの会社は、どうしても商品というモノを売ることしか考えられない傾向にあります。
商品は何故成り立つのか?
「困りごと」を解決するから成り立つのです。

あなたの事業は誰のどんな「困りごと」を解決していますか?