税金の正しい使い方~ビッグデータの威力と魅力

先日、「インバウンドで釧路を元気に!」という題名で合同会社ヴェリティ代表の小林真さんの講演を聞く機会がありました。

小林さんは釧路出身で東大物理学科卒、ノーベル賞の小柴先生の門下生、その後日本IBMでAIとビックデータ分析を専門とし、一昨年、釧路市の観光立国ショーケース事業で釧路市から委託されインバウンドデータの分析に携わりました。釧路市でインバウンド向けゲストハウスを自ら立ち上げ、今月正式オープンしたばかりです。

講演はとても分かりやすく、インバウンド観光が今後、地域経済にとって大きなインパクトを与え多くのビジネスチャンスが生まれそうなことが理解できましたし、何よりもビックデータ分析の威力と魅力を思い知りました。

ビックデータは新聞などの見出しで良く見るけど、中小企業、まして地方でビックデータ分析をフル活用してますなんて企業にお目にかかったことがありません。
やはり大手小売やメーカーのマーケティングツールでまだまだ中小企業にはコスト的に敷居が高いイメージがあります。

釧路市のインバウンド観光のデータの傾向としては
・1人の外国人観光客が1泊すると国内客の宿泊分3人分、日帰り客の10人分の金額が消費される。
・外国人客の伸びは5年間で1.5~2倍に伸びている。(国別に阿寒湖周辺、釧路中心部でもデータあり)
・国別の入込数をみると、全国の伸びに対し、シンガポールや台湾などの伸びが下がっている。
・平均滞在数はほぼ1泊で単なる通過点となっており、今後いかに複数日滞在してもらうかが重要となる。
・携帯電話の位置情報から分かったことが、観光客が一定期間キープできるような場所が殆どない。つまり長い距離をひたすら移動を強いているのが現状。
・クレジットカードの利用額から国別に何を優先して購入しているかの傾向を比較できる。
・口コミ分析で地区別にどんなキーワードがささやかれているかが分かる。動物園は旭川、魚介・カニは函館、農場は富良野など、釧路地域では特に強いキーワードが殆どない。
・評判分析では二次交通(JR、バス)に対する不満が多い。接続が悪い、情報が一元化されていない等。

これまでのデータ分析との違いはインバウンド観光客の行動や嗜好について実態をより詳細に知ることが出来るということ。
何事も現実を正確に知った方が傾向と対策を立てやすいわけで、彼を知り己を知れば百戦殆からず、といったところだと思います。

今まで分からなかったターゲット顧客がどんな行動を取りどんなことに興味があるか、ビックデータ分析の登場によって細かく把握できると、よりピンポイントでマーケティング対策がとれるわけで、こういった素晴らしいデータを税金を使って作成しているのなら、釧路市もデータが出来た段階で即公開して色々な事業者がビジネスに使えるようにしてもらいたいと思います。
と言うのは、小林さんも言っていたのですが今回説明を受けたデータは2年前のもので、今の時代2年も経ったら気の抜けたビールのようなものでちょっとそのまま使うには厳しい。

どうせ税金を使うなら、このビックデータ分析のように、一中小企業ではお金がかかり過ぎて手が出ないけれど、もし無償で提供されれば多くの事業者がビジネスに活かせることに、1年に一回でもお金を掛けてほしいですね。