ムダ放置する者やがて滅びる

先週は、毎年この時期に行っている決算活用セミナーを行いました。
決算は計算して終わりではなく、この数字を起点に次年度の目標設定や戦略立案、事業計画を作成し、内外への説明を行って欲しい。

その中で活用をお勧めしたのが、決算書の数字を元にして財務分析が出来る「経営自己診断システム」です。
このシステムは中小企業庁が提供するインターネット上で誰でも無料で利用することができるシステムで、全国200万社以上の中小企業の財務データベースを元に構築されています。業種も指定できるので、自分の会社がその業界の中で全国でどの位の位置にいるのかが、財務指標事に一目瞭然で表示してくれます。

入力もBS、PLの合計値といくつかの勘定科目の数値だけなのであっという間に終わり、是非使ってみることをお勧めします。

更に指標の計算式や説明、改善の方法などの解説もダウンロードできるという至れり尽くせりの優れものです。

とは言え、全部で27個もある指標を一度に見せられると、普段あまり見慣れないがゆえに一瞬ひくかもしれません。

でも、この財務指標、一つ一つ見ていくと、中々面白く含蓄があります。
どの指標にも必ず敢えてこの指標を計算している意味があるんですね。

多分、収益性の指標は誰も見ても分かり易いと思います。
売上高営業利益率や売上高総利益率は各利益の売上に対する率なので、当然高いほど良いわけです。
●売上高営業利益率=(営業利益/売上高)×100

一方、ちょっと何だろう?と思うのが回転率や回転日数関係の指標じゃないかと思います。

●売上債権回転日数=((受取手形+売掛金+受取手形割引高)/売上高)×365=(受取手形+売掛金+受取手形割引高)/一日当たり売上高

全てが現金商売なら売上債権は発生しませんが、実際には売掛金や受取手形等、現金で回収するのに期間を要する売上債権が発生します。建設業など手形取引が前提の業種では特に回収期間が長く、資金繰りが苦しくなる最大の要因になります。さらに取引先の倒産や業績不振により回収できないといった債権も発生します。この指標は売上債権が売上何日間で回収できるか、もちろん短い方が良い!

●(棚卸資産/売上高)×365=棚卸資産/一日当たり売上高
商売する上で在庫は常に抱えていなければ適宜にお客さんに商品を提供できません。しかし、放っておくとどんどん膨らんでいくのも在庫なのです。商品は陳腐化する運命にあり、不良在庫が溜まり、やがて廃棄といった道を辿るのも在庫です。在庫の圧縮は商売の命運を左右すると言っても過言ではありません。この指標は在庫が売上何日間で回収できるか、これも短い方が良い!。

これらの回転率や回転日数は経営の効率性を表す数値です。
この数値が悪いというのは、不必要なムダを日々垂れ流しているということでもあります。
しかも、このムダは日常業務の中で全く無意識に垂れ流しているのです。
そして、このムダは回収を早める、ムダな在庫を減らすという対策と行動を具体的に行うことが出来、やれば確実に結果が出るのです。

財務分析の肝は標準との比較、更に現在地からの目標設定にあります。
不良在庫の山を抱えた会社が儲かるようになるはずもなく、債権回収にだらしない会社が栄えることはありません。

まずは自己分析してご自分の現在位置を確認してはいかがでしょうか。
ムダ放置する者やがて滅びる、世の摂理かな。