興味のない人に興味を持ってもらうには?

多くの会社が決算期を迎えていますが、日本経済新聞の一番最後の社会面の広告欄を見ると、毎日のように色々な会社が決算広告を載せています。

貸借対照表と損益計算書の両方が載っていますが、勘定科目毎に細かく表示しているのではなく、合計値だけの極めてシンプルなものです。
果たしてこれだけで会社の経営状態が分かるのか?と思いますよね。

でも、分かるんですね。
逆にこれだけシンプルだと本質的に一番大事な部分が浮き彫りになる。

特に貸借対照表(BS)が重要です。

例えばある日のある会社のBSはこんなでした。

資産の部
流動資産 4,557
固定資産 1,619
資産合計 6,177
負債及び純資産の部
流動負債  988
固定負債  517
負債合計 1,505
株主資本 4,671
資本金   250
利益剰余金4,421
純資産合計4,671
負債・純資産合計6,177

果たしてこの会社の経営状態はどうでしょうか?

BSで表現されているのは、平たく言えば、
(1) 資産の部が会社の金庫の中味
(2) 負債及び純資産の部が(1)の資産をどうやって調達してきたのか
A借金か?
B自分で稼いだ金(利益の蓄積)か?

当然同じ金なら、必ず返さなくてはいけないA借金より、返済不要なB自分で稼いだ金が多い方が良いに決まっています。

この会社は、A借金24.4%に対し、B自分の金75.6% ですから財務的にはとても安定した会社だと言えるでしょう。

このBSの情報と損益計算書(PL)で相当程度、今の会社がどの位の経営状態か財務的には説明できると思います。

前回のコラムでも書きましたが、今や最大の企業の課題となった人材確保のためにも、さらに取引先や銀行等内外に向けて、経営者の説明力が大きく必要とされています。

特に内部に向けての説明では分かり易さが必要です。
何故なら、経営者と働く側の社員、さらに店長などの部門マネージャー、それぞれで興味のある数字が違うからです。

同じお金に関することでも、経営者は金庫の中味即ちBSの数字更にPL損益計算書の数字。部門マネージャーは経営成績を表すPL損益計算書の数字、そして働く社員の多くは財務諸表よりは自分の給料の数字が一番の関心事ではないでしょうか。

えてして経営者は自分の関心事は、当然社員も関心を示してくれていると思いがちですが、それは残念ながら幻想に過ぎません。

興味のない人に興味を持ってもらうには、分かり易い説明力が必要です。
いま必要なのは、本質を裏付ける分かり易い説明力です。

経営者の説明力で会社の未来は決まります。