あっち立てたらこっち引く

飲食店でセルフの業態が増えてきていると日経MJの記事で見つけました。

セルフというとショッピングセンターのフードコートとか社員食堂、うどんの全国チェーン、ホテルのビュッフェなどがすぐ思い浮かびますが、ここで紹介されているのは券売機で券を買ってお客さんが自分で料理を運び食器も片づける形式のフレンチレストランであったり、居酒屋でワインや焼酎など豊富に用意された酒類のサーバーから呑み放題で自分でグラスに注いだりカクテルを作ったりするスタイル。

セルフで人件費がかからない分、割安の料金設定が可能でお得感がある。
昨今の大変な人手不足に対応する一つのやり方かもしれませんが、飲食は次々に新しい業態が出てきますね。

ちょっとこれと似ているのが、フレンチなどの高級食材を提供しているのだけど立食形式にしてお客さんが長居しないことで回転率を高めて、割安なメニューを提供しているスタイル。
これなんかも以前にはなかった斬新なビジネスモデルだと思います。

いずれのビジネスモデルにしても「お得感」を出すための仕組みがあるということだと思います。

割安感があるということは食材費率が高い、「値段の割にはすっごく良いもの食べられた~」とお客さんが感じる。
もし、これまでの仕組みを全く変えずにそんなことをしたら、もうそれは利益を削るしかないわけですから赤字続きで閉店に追い込まれることになります。

全体を100%として食材費率30%、人件費率30%、その他費用30%で利益10%を標準と考えた場合、食材費をかけた分を別な仕組みでお金を産み出さない限り、利益だけが食われて店を維持するのはムリなのです。

その仕組みが上述したセルフであったり、立食にして回転率を上げることであったりします。
この仕組みによって劇的に人件費率を下げたり、利益額を積み上げることで、店がちゃんと成り立つだけの利益を出すことが出来るのです。

ここでやっているのは単なる改善でありません。
単に利益を削って我慢しているのでもありません。
儲かるように大きく利益の構造を変える。
そのためには新しいビジネスモデルが利益が出るか否かの構造計算をしないといけないのです。

儲からない仕組みを放置していても、「はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりぢっと手を見る」といったように苦しむだけです。

儲かる構造を作り出すためには、あっち立てたらこっち引くトレードオフが必要。
これまでの固定観念を一度横に置いて、ご自分のビジネスモデルを素から見直してみてはいかがでしょうか。