家業 or 企業

経営コンサルタントとして独立して18年が経ちました。
それまで情報処理会社の営業職、SE職、運送会社の事務職、さらにその前はレンタルレコードFCの店長など複数の業務を経験し、さらに中小企業診断士資格も取得し、経営コンサルタントとしてある程度やれるという意気込みを持ってこの世界に足を踏み入れたことを覚えています。

しかし、そんな根拠のない自信は独立して間もなく粉砕されることになりました。
その最大の要因は何だったのか?

それは想定した顧客イメージのギャップでした。
少なくとも自分がこれまでいた企業は中小企業とはいえ、事業計画は立てていたし、経営会議も毎月やっていたし、そこにはマネジメントといったものは確実に存在していた。中小企業であれば、それは当たり前だと思っていました。

今から思うとそれだけ世の中知らなかったということなのですが、地元のお会いするどの会社もマネジメントも無ければ、マーケティング?何それ?といった感じで、自分が常識だと思っていた中小企業のイメージからは大きく乖離していたのです。

要は企業というよりは家業の会社が圧倒的に多かったのです。
それは恐らく今でも変わっていないし、家業のままで良いという会社は家業の良さを追求していけばよいと今では思っています。

ただ今より成長したいと志向したり、経営力を向上したいと考える経営者であれば家業から企業化をめざすべきではないかと思っています。

別に家業の定義が公的にあるわけではないのですが、家業と企業の違いはどこにあるのかを考えてみたいと思います。

家業と企業の違いに、規模の大小や家族労働か否かというのは関係ないと思っています。

家業になくて企業にはあるもの、それは「マネジメント」です。
Plan(計画)-Do(実行)-Check(評価)-Action(改善)の仕組みがあり、実際に回っているかどうかに尽きるのです。

当然、このサイクルの中に事業計画(事業シナリオ)の作成があったり、経営会議や社内ミーティング等のコミュニケーションの仕組みが入っていたり、社員の教育訓練が織り込まれていたりするのです。

マネジメントの仕組みが機能していなければ、行き当たりばったり、成り行きまかせに成りがち。個人事業や少人数の組織であればそれでも十分回るかもしれませんが、組織が大きくなってもマネジメントのマの字もない会社も多いのです。

これまでのコンサルティングでマネジメントの仕組みを導入した会社は、今では経営者自ら事業計画を作成し、金融機関はじめ内外の関係者へ事業の見通しや計画を語り、年間を通じてマネジメントを回し、今も成長している会社が多い。

家業と企業、マネジメントが存在するか否か、その違いは大きい。
マネジメントの有無がその後の企業力と成長に大きな差を生むのは至極当然のことなのです。