見えずば共感生まず

昨日、世間を騒がせていた仮想通貨取引所のコインチェックの記者会見があり、ちょうどスマホのabemaTVでやっていたのでその様子を見ていました。

来週には流失した仮想通貨NEMの返金に応じるとのことで、その財源は確保しているとの返答は以前と変わらず、さらに記者から「財務内容の公開はしないのか?」との質問には公開しないとのこと。

上場しているわけではないので財務内容を公開する義務はないのでしょうが、お金を預けている方からすれば、財務の中味が見えないので、本当に返すだけの余力があるのか不安は解消されないのだと思います。

この一連の流れを見ても、財務内容が分からないと、会社が大丈夫なのか、どの程度の会社なのか、将来性があるのか、ないのか、全く見えないということが分かるのではないでしょうか。

先日、経営幹部に対して「幹部は数字に強くなろう」というセミナーを行いました。
これまでコンサルティングの現場の色々な中小企業経営者の方々とお付き合いしてきましたが、会社の数字である財務に関して、きちんと理解していないで経営判断に支障が出ている方も数多くいましたし、経営幹部となると基本的な財務教育を受けていない方々のパーセンテージの方が多いというのが現状でもあります。

僕自身、以前20代のサラリーマン時代に、店長として月に一度の経営会議の際に見せられる財務数字にストレスを感じていました。毎月出てくる店毎の損益計算書(PL)は感覚的に誰が見ても理解できるもので、売上から諸費用を除いていき最終的に利益がいくら残って、どの程度の儲けで成績が良いのか、悪いのか良く理解できました。

問題は貸借対照表(BS)です。
これが毎月出されるのですが、いくら見ても理解できなかった。出来るわけがありません。見方が分からないので理解できないのです。その店長会議に出ていた店長さんが全員、僕と同じだったと思います。

貸借対照表は、一言でいえば会社の金庫の中味を解説するものだと思っています。一つは(1)金庫の中の財産はどんな種類がいくら入っているのか?そして大きなもう一方は(2)その財産(お金)はどこからどれ位持ってきたのか?借金でどれ位調達してきたのか?それとも自分で稼いだお金がどれ位なのか?

当然、(1)借金で調達するより、(2)自前で稼いで返済不要の金、の方が良いに決まっています。

ここが分からないと、どの程度余力があるのか?借金で首が回らないのか?全然見えないですよね。

経営幹部とは現在、そして会社の未来を任せる極めて重要な後継人財なわけですから、ここを説明して共有しなければ、会社の将来に対して思いや目標を共有できない。

もし、この作業なくして経営者が「とにかく大丈夫だから今後ともウチの会社を支えてくれ」と口にしても、幹部としては、「中味の見えないものに共感しろと言われても・・・」となり、それが長期的には手塩にかけて育てた人財の流失につながるのです。

会社の現状を正確に伝え、確からしい未来を語れない会社に人は居つかない。
人が居つかない時代、まず今を正確に伝え、理解してもらうことが基本だと思います。